木材のいろは

春になるとスギ花粉に悩まれている方にとってはスギはとても厄介な木材かもしれないが、 割裂性がよく、薪割りのように割ることによって、角材から板材までを作ることができるスギは、昔から重要な木材として重宝されてきた。

日本の住宅には様々な種類の木材が使われており、その温かみにたくさんの人が癒されている。木の住宅のメリットは数多く、 私もいずれは木の住宅をと考えている。

どのような木材がどのような家具に合うのか、まとめたサイトがこちらです。木材にも向き不向きがあるのでしっかりと知識をつけ、一生で一番大きな買い物を成功させよう。

木の個性

木は生物であるため、品種だけでなく育成環境や伐採の季節、また一本の木の中でも部位によって性格が異なり、それに応じて扱いを都度変える必要がある。

品種分類では、大きく針葉樹と広葉樹に分けられる。主に寒冷地から温帯にかけて生育する針葉樹は一般に直線的な幹と小さめな樹幹を持ち、気候の影響から明瞭な年輪を形成する。ただし世界中に分布する広葉樹のうち熱帯に生育するものには年輪が作られないものもある。構成にも差があり、チロースとなる柔細胞の比率も針葉樹で約5%に止まるのに対し広葉樹は10 - 30%と多い。

木の成長は季節によって変化する。木は春から初秋にかけて細胞分裂を起こして幹を太くするが、この期間の前半と後半では細胞の形状や大きさ、木種によっては細胞の種類が変わる。前期に形成される部分を「早材」まはた「春材」と呼び、針葉樹の場合は細胞壁が薄く細胞の直径は大きくなり、材の色は薄くなる。後期の形成箇所は「晩材」または「夏材」と言い、特徴は逆になる。広葉樹では、ケヤキやミズナラなどでは早材部分に大きい道管が形成されるために区別がつくが、ホウノキやカツラなどでは季節による道管に差ができないためにこの早材/晩材の差が生じない。

季節では、夏雨性の温帯気候に属する日本においては木の新陳代謝の低下する秋から冬にかけての時期が伐採の最適期とされており、特に広葉樹のブナなどはこの時期に伐採したものは腐れや害虫に強い木材になる。しかし例えば磨き丸太に使う木材では樹皮と材を剥離しやすい幹形成期の春が伐採に適すなど、目的によって最適時期は変わる。

樹木を縦割りにした際、枝があった部分には「節」(ふし)が残る。これには、材の木目から断裂が無く繋がっている「生節」(いきぶし)と、枯れた枝が幹の成長に伴って包み込まれた「死節」(しにぶし)がある。なお、枝が枯れ落ちたり切り払う(枝打ち)作業によって節が無い材は特に「枝下材」と呼ばれ価値が高い。ただし節の存在が強度不足を招くことはなく、逆に美的評価の要素として格付けされる場合もある。

木の構成

木材として使われる部分は「材」(ざい、木部)と呼ばれる。樹木は、芽や成長点を由来とする中心部にあるごく細く軟らかい「髄」(ずい)または「樹心」(じゅしん)、主要部分を占める「材」、外皮に当たる樹皮の3つの部分に分かれる。木も代謝を繰り返し細胞分裂によって成長するが、幹や枝の先端(成長点)を除く「材」の部分では樹皮のすぐ下に当たる部分(厳密には師部と隣接する数層、維管束形成層と呼ばれる)だけに限られ、しかも幹側になる細胞は分裂機能を失い、数週間で原形質を無くして細胞壁だけとなる。これが積み重なって木の「材」となる。樹皮には葉での光合成で作られた炭水化物を木全体に送る「師部」(しぶ)がある。

さらに「材」は内側の「心材」(しんざい)と外側の「辺材」(へんざい)に分けられる。心材は「赤身」(あかみ)、辺材は「白太」(しらた)とも呼ばれるが、これは一般に中心部が赤っぽく、外辺部が白っぽい色をしているためである。ただし、エゾマツやトドマツまたはベイツガなど木の種類によっては中心部と外辺部で色の違いが見られず、心材と辺材の区別がほとんど出来ないものもある。

辺材には根から吸い上げた水分を樹木全体に送る仮道管(針葉樹)または道管(広葉樹)、またでんぷんなど同化物質を貯蔵・分配するために原形質を保持した柔細胞があり、木の生命活動を担う。道管・仮道管はその形成の段階で非常に細長く、かつ厚壁になったもので、それらはほとんどが幹の縦方向に平衡して並んでいる。また内部が空洞化することによって作られるため、木材は、強度を決定づける繊維が縦方向に強く並び、軽量ながら適度な強度と断熱性を持ち、方向による異方性を示す材料となる。

木材の主成分は多糖類であるセルロース分子が作るミクロフィブリル(約50%)やヘミセルロース(含キシラン・グルコマンナン、約20%)、リグニン(広葉樹約20%、針葉樹約30%)を主成分とし、副成分としてテルペン、タンニン、リグナン等を含む細胞組織からなり、複雑で緻密かつ強靭な構造を成している。骨格となる長鎖状のセルロースは木材に強さやしなやかさをもたらし、網目状のリグニンは細胞を接着させながら硬さ・曲げ強さを与える。分岐状のヘミセルロースはセルロースとリグニンを結びつける機能を受け持っている。これらは自然界では化学分解の難しい成分として知られるが、実際には菌類やシロアリなど一部の動物がこれを強力に攻撃する。特に辺材は水の通り道となるために含水率が心材と比べて高く、また栄養素を含むことから腐りやすく害虫にも弱い。これらの成分は可燃性であり、火は木材にとってもっとも危険なものである。

この柔細胞は分裂から数年 - 数十年経つと周囲の細胞を心材化させ、自らも原形質を失って膨張し、チロースとなって樹脂道や道管を充填する。こうして形成された心材は木の構造を支え、フェノール類などの抽出成分を含んで腐食や害虫の侵入を阻止する役目を持つ。また、セルロースは伐採後200-300年という期間を経て結晶化が進み、木材の強度を高める効果がある。

製材

山から伐り出した原木を丸太のまま利用する事は少ない。通常は皮を剥がし角材や板材へ切り出す製材作業を行う。古代は石器、鉄の利用が始まってからは斧次いで鋸が使われ、木挽き(こびき)職人と呼ばれる技能者が個々の原木の性質を見極めながら製材をしていた。同じ原木を製材しても職人の腕一つで材木の品質や歩留まりなどが大きく左右されたので、木挽き職人は高度な技術が必要とされる仕事であった。1950年代からは電動工具などを用いた機械的な大量生産方式が導入され、職人による高度な製材技術は期待できなくなったが、製材機械の改良により高度な製材加工がなされる。

板取り

原木から板を切り出す場合、年輪の目に対してどのような角度で切り出すかによって、板表面の木目が異なってくる。また、切り出しの角度は木目のみならず、板の強度などにも影響を与える。

柾目(まさめ、正目)
年輪の目を断ち切るように年輪に対し直角に近い角度で切り出した板の表面に現れる木目を柾目と呼ぶ。冬目と夏目が交互にほぼ平行に現れ、きれいに揃った縞模様となる。収縮や変形が少ないが、水分を透過させやすい。柾目の板は原木から20 - 30%程度しかとれず歩留まりが悪いので高価である。
板目(いため)
年輪の目に沿うように接線方向に切り出した板の表面に現れる木目を板目と呼ぶ。木目は柾目のように整った縞模様とはならず、不規則な曲線模様となる。板目の板には裏表があり、切り出しの際に外辺部側に面していた方が表面(木表)、中心部側に面していた方が裏面(木裏)となる。木材の切断面を指す意味の「木口」の年輪の模様を見るとカタカナの「ハ」の字状に目が走っているが、ハの字の狭い方が表、広い方が裏となる。板目の板では水分の吸い込み易さの指標である吸水率が表側と裏側で異なり、長い年月を経ると必ず収縮・変形し易い性質があり、木材には反りが生じる。年輪の目が詰まった冬目が板の厚さ方向に複数重なっているため水を透過させづらい性質を持つ。この性質を利用して液体を貯蔵する樽などには必ず板目の板が利用される。
杢(もく)
原木の瘤の部分など異常成長で生じた局部的なねじれや湾曲を起こした箇所を切り出したときに、稀に現れる柾目とも板目とも異なる複雑な模様の木目。ナラなどの虎斑(とらふ)、カエデなどの鳥眼杢(ちょうがんもく、とりめもく、バーズアイ)、トチノキやカエデなどの波状杢(はじょうもく)や縮み杢、ケヤキなどの玉杢(たまもく)、ハルニレの葡萄杢などが知られ、希少価値があり珍重される。

無垢材と木質材料

一本の原木から角材や板を直接必要な寸法に切り出したものを無垢材と呼び、小さな木の破片や薄い板を集め接着剤で貼りつけて大きな寸法の部材としたものを木質材料と呼ぶ。主な種類として、集成材、LVL(単板積層材)、合板、パーティクルボード (PB)、ファイバーボードがある。集成材の接合法は大きく分けてスカーフジョイント・フィンガージョイント・パットジョイントの3種類に大分類され垂直形ミニフィンガージョイントによる接合が多い。構造用集成材の種類としては米松(ダグラスファー)・欧州赤松(レッドウッド)・SPF(スプルース・パイン(松類)・ファー(樅))・米ヒバ・米栂・スギ・カラマツなどがある。

合板

木材を薄くスライスした単板を繊維方向が互い違いに直交するように複数枚を重ね、接着剤で貼り合わせ一枚の板に加工したもの。ベニヤ板とも呼ばれる。

大面積の板材を無垢材から得るためには巨木が必要となるのに対して、合板は無垢材に比べて安価に大面積が得られる点、工場加工ゆえに品質が安定している点から、様々な用途に広範に利用されている。

かつて合板の多くは、ホルムアルデヒド系接着剤が使用されており、気化した成分が人体に悪影響を与えることがあった。そのため、1980-1990年代頃よりシックハウス症候群の原因として問題視されるようになってきた。また、湿気に弱いため、屋外や水回りで使用するものには、耐水性の高い接着剤を使用するなどの工夫が必要とされる。

規格

日本農林規格のJASによって、接着の程度(特類、1類、類)や板面の品質(1等、2等、A、B、C、D)といった等級がある。さらに、上記のホルムアルデヒド放散量によっても区分があり、F☆ - F☆☆☆☆という表記がされている。F☆☆☆☆以外は、住宅で使用する際に使用量が制限されるため、ほとんどの製品がF☆☆☆☆に対応するようになった。樹木の種類による分類には以下のようなものがある。

ラワン合板
ラワン(lauan) は東南アジアなどに分布する樹種で高さ40m、胸高で直径が2m程度に成長する広葉樹高木であるフタバガキ科の木材を加工したものである。ラワン合板はこの広葉樹材を張り合わせた合板。表面がざらざらしており木目はハッキリしないのが特徴である。一般にベニヤ板という場合はラワン合板をさす。本来のラワン材は乱伐によってかなり減ってしまったため、現在は南洋系の広葉樹材を使用する合板をラワン合板と称している。
シナ合板
ラワン合板の表面部分にシナ材を貼り付けたもの。シナ材そのものは柔軟すぎる。外観が美しく、また平滑な仕上がりとなる。
針葉樹合板
主に松類から作られる合板で、ラワン合板と比べると節や年輪があり、部分によって含水率が異なるなども問題があったが、生産技術や接着剤の改良によって十分使用に耐える性能を持った合板が開発され、構造用などで広く用いられている。

木質ボード

木質ボードとは、砕いた木材の小片や繊維などを結合材料で固めた製品である。代表的なものとしては以下に上げるような種類があるが、エレメントの大きさや形、並べ方によって製品の性質はさまざまであり、製造過程が類似しているため中間的な製品も存在する。パーティクルボード、OSB、MDFでは、エレメントのその大きさや形は確率的なものであり、製造工程において分級(ふるい分け)などによって品質管理される。

パーティクルボード
木材の砕片に接着剤を混ぜ加熱圧縮成形したボード。断熱性、遮音性に優れる、耐水性には欠けるので主に家具、内装下地として使用される。学習机やホームセンターなどで販売されているカラー合板の芯材として多く用いられている。国内のメーカーでは建築廃材などで材料を100%まかなうメーカーもある。表面はざらざらしているが、内側には長め広めのエレメントを使って強度を確保し、一方、表層には細かいものを使って滑らかにするという製品もある。
OSB
Oriented Strand Board(配向性ストランドボード)の略で、接着前に木片の向きをそろえることで一定方向への強度を高めたものである。低質の広葉樹(アメリカ・カナダではアスペン)を用いており、以前は規格外のため構造用に用いることが出来なかったが、JASにより規格化されたため、近年普及が進んでいる。日本では合板が構造用パネルとして広く使用されているが、ここ数年の価格高騰がOSBへの転化を後押しする結果となった。
ファイバーボード
木材繊維を集め、そのまま乾燥または加熱圧縮成形した木質ボード。繊維板とも呼ばれる。比重によってハードボード (HB)、MDF(Medium Density Fiberboard、中密度繊維板)、インシュレーションボード (IFB) の3種がある。用途はパーティクルボードとほぼ同様だが、表面がなめらかで化粧板を貼っても凹凸が出ずきれいな仕上がりとなる。パーティクルボード以上に耐水性は無く、MDF単体で用いられることはほとんど無い。扉や家具のコア材、変わったところではトラックのドアの芯材にも用いられている。
ランバーコアボード
英:Lumber core plywood。無垢の小さな棒材を複数並べたものを芯材とし、表面に薄い板を張って一枚の板に加工したもの。木質ボードというよりはむしろ表面に化粧板を貼った集成材に近いものであり、釘の保持力が強いという特長を持つ。
単板積層材 (LVL)
単板積層材 (LVL, Laminated Veneer Lumber) は、以前は平行合板とも言われた。製造工程は合板とよく似ているが、おもに柱など棒状の形で使われることを前提として、長さ方向に用度を持たせることを優先して作られるものである。一般的な合板とは異なり各層の繊維の向きを直交させるのではなく原則として同じ向きにそろえて作られる(幅方向のそりを防ぐため、若干の直交層を含めることもあるが、ほとんどの層で繊維は同じ向きである)。強くて長い木質の棒を作ることができるので、比較的大きな建物を木造で作るときなどによく利用される。

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